中近現代アレコレ平和祈念探方――広島・宮島行 Aug.12-15 2007
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第十章 「祭り・ザ・エキサイティング」
宮島は……とにかくすさまじい人の量でした。そりゃそうだ。世界遺産で日本三景だもの。ましてや今日は一年で一番混む日であるといいます。何か
お祭りがあるそうでして、そういうむちゃくちゃ人が込む時に来るのは大変なことですが、逆に言えば昨日でもおとといでもなく、今日来ることが出来たのは
非常にいいことであるかもしれません。
前回(これまた98年の、修学旅行のときですが)は夜中に着いて朝に出てくるような、完全な厳島参拝オンリの行程でしたが、今日はフェリーに乗って鳥居をくぐって
鹿と戯れ街を歩いて……というわけで、きちんと歩くという意味では今回が初めての宮島と言えましょう。
とりあえずやって来て出迎えてくれたのはたくさんの鹿でした。鹿? そりゃ宮島じゃなくて奈良じゃないの? などといった言葉が頭をよぎりましたが、まあよろしい。
とりあえず撮影だ、つって、数枚パシャパシャとシャッターを切り、その後は遠くに厳島神社を眺めながら街を行く。
途中、鹿ソフトというのを食べました。これはソフトクリームの上に、麦チョコがちりばめられているもので、その麦チョコがまた……その……鹿の、あの……
一体観光客に何を思ってほしいのか。どういう想像をしながら食べて欲しいのか。作った人に問い掛けたい、インパクト爆発な食品でした。
テクテクと道程を行き、神社の本殿へ。
何年か前に、台風でザッと洗われたと聞き、その後どうなったのか気になっていたのですが、きちんと大勢の人たちが入ってもちゃんとしていました(当たり前だ)。
何分にも人が多すぎて、風情も何もあったもんじゃないというのは事実でしたが、それでも涼しげな雰囲気や荘厳な回廊などはきちんと味わってきました。
うろうろと回っていると、何やら沖合いの大鳥居でイベントが始まるようで、早速カメラを持って移動。同行の方はちょっと暑さで参ってしまったようですが、カメラを
持てば気力で走り回るこの犬神、この時とばかりにいよいよ300mm望遠レンズに換装、遠いところにて行われる祭りの模様をバシバシ撮影しました。
その祭りというのは、えっと、詳細は公式ホームページでもご覧いただくことにして
(最初はコピペしようと思いましたが、それもあまりなので)ともかく歴史のある祭りのようで、何やら厳かな中で行われる神聖な祭りなのかと思っていたのですが、
半裸の男たちが組んだり飛んだりして玉を奪い合う実にエキサイティングな祭りでした。
その後本殿で願い事を祈り(何かはもちろん、こんなところでは言いませんが)、それぞれにおみくじを引きました。4人で引いて、吉、吉、吉、平(私)。
平?
……ちなみに勝負事は「かなわず」でした。他の人たちはかなうっぽいんですが……。まあ3対1なら総合的には勝てるからいいか。ちぇっ。
第十一章 「ウォーター・ヘヴン」
昼ご飯を早めに食べよう、という発案でとりあえず「とりい」という食堂へ。大滝秀治も来たいわくつきの店です。いわくつき、とは言わんか。私たちが入った時は
すぐに座れましたが、その後どかどかと人が入ってきて、あっという間に混雑に。こういうところでさっきのおみくじの予言が当たったようです。うおお。
で、とりあえずカキうどんを食べました。暑いのに。ええ、暑いのに。
それにしてもこちらのカキというのは随分大きなもので、それが5個も6個も入っていて、カキ好きの犬神にはたまらない一品でした。暑いけど。熱いけど。いや、
いいんです。熱いのが好きなんです私は。
とりあえず早めの昼ご飯を食べたあとで、今度は宮島水族館へ。松島水族館なら行ったことがありますが、これは初めてですね。私も水族館は大好きなクチなので、
わくわくしながら館内へ。
入ってすぐのところにある巨大な回遊水槽には、数十種類もの魚が仲良く? 泳いでおりました。中にはカンパチとかといった、正直なところ加工されて調理されて
あとは醤油でもつけていただきますか、って状態でしか見たことのない魚もおりました。ここはどこの寿司屋の生け簀ですか? などと不届きなこともちょっとだけ頭を
よぎりましたが、次の妖しく光るクラゲや悠々と泳ぐスナメリなどを眺めているうち、そんなものはどこかに吹っ飛びました。スナメリは、少しだけ、品川の水族館の
ことを思い出しました。
特に可愛かったのは、やはりカワウソでしょうか。カワウソ? カワウソ……「のくせにハワイなんて(ゴゴゴ……)」なんて、そんなことは今だからこそ思いつく
ことであって、その時はひたすらに「かわいー」「かわいー」の一心でした。後に食事タイムとなり、飼育員の人が差し出す餌を節操なくパクパク食べる姿は、さらに
愛くるしいものがありました。
そのあとペンギンの群れを見て、アシカのショーを見て、巨大なトドを見ました。
このトドの中で一匹、特に図体のでかいのがいました。でかいも何も、異様にでかくてまともに泳ぐことさえ出来なさそうなサイズでした。けれどもフロアの上では
やはり大きい分だけ格上なのか、動き出したかと思ったら他のトドがいた日陰の場所を、ウオッウオッと雄たけびを上げてどかし、その場所にドンと座り込みました。
そして追い出されたトドはプールの中に飛び込み、涼しそうにしていたのですが、その巨大なトドは、言うなればリングの中をどたどたと駆け巡る曙のような姿でした。
控え室というか、決して大っぴらに見せている場所ではないのですが、私たち一行は決して可愛いとはいえないそのトドたちを見て、なかなか楽しんでおりました。
第十二章 「くもの糸 to 絶景」
で、厳島神社から少し歩いたりバスに乗ったりして、え〜と……(パンフを見て)……紅葉谷公園からロープウェイで山上まで登っていきます。このロープウェイというのも
路面電車と同じで、これまで一度も乗ったことがない夢の乗り物でした。スキー場のリフト? うーん、あれもまた違うでしょう。ロープウェイ、あ、いやロープウエーですか。
とにかくそれに乗りました。
ロープウエーは……思いのほか早くて、そして、高かったです。大人、片道1000円、往復で1800円……じゃなくて、物理的な高度ね。
距離にして1キロ、高さにして300m強の場所を10分ほどかけて移動していくわけですが、これがとてつもなく高くて、その高いところに宙ぶらりんになるのです
から、そりゃ恐いですよね。もちろん私はロープウエーの安全性というものを信じているので、何とか冷静を保っていたのですが、それでもそういう話になれば、ちょっと
恐いような気もします。
当然ながら私たちは何事もなく乗り換えの榧谷(かやたに)駅まで乗り、そこからは乗合ロープウエー「銀波」(だったかな)に乗って展望台へ。こちらは5分程度で
着きました。ちなみに繁忙時には2つのロープウエーが互い違いに行ったり来たりして、大量の人々を運びます。車掌はいませんが、安全には気を遣っているということで
安心して景色を眺めることに。
空中からの景色というのもまた、こういう機会(あるいは「機械」)でもなければ見ることの出来ない景色ですね。天気がよくて、本当によかったと思います。
なお乗合ロープウエーの中ではガイドのテープが流されます。それによるとこの宮島の景色を絶賛したのはかの初代総理大臣伊藤博文なそうです。また広島名物
もみじまんじゅうも、同氏が茶を飲みに立ち寄った店の少女の手を見て「綺麗な紅葉のようだ。焼いて食べたらおいしそうだ」と、とりようによってはちょっとアレな
言葉を聞いたその店の女将が作ったそうです。
そしてたどり着いた弥山の展望台から見る景色は……なるほど、伊藤博文もこれは感動するわけだ。そこにはたくさんの小さな(実際には決して小さくはないのでしょうが)
いくつもの島がバラバラと浮かび、果てしない水平線しか見たことがない犬神にとっては「こういう景色も、あるんだな」と、色々な意味で感動しました。
彼方には海軍兵学校、今は海上自衛隊の士官学校があるという江田島が見えました。ETAJIMAであってEDAJIMAではないそうですね(EDAJIMAは10人いたら大戦の結果が
ひっくり返っていたという伝説の塾長ですね)。
加えて猿と鹿がいました。後に知ったところではこれらの猿と鹿は元々住んでいた生き物たちらしく、基本的には人に飼われているわけではなく、今なお野生している
そうで、そのために「ビニール袋を持ち歩くな」とか「メンチを切るな」とかと注意書きがありました。野性の猿というのはメンチを切ると即喧嘩を売っているという、
80年代ヤンキーみたいな生き物なのだそうですね。おかげでよほど人に慣れた? あるいは眠っている猿ぐらいにしか、カメラを向けられませんでした。
それから、少し上ったところにある、空海が修行をした1200年消えずに燃え続ける炎があるということで、そちらへ向かうことになった次第ですが、これがまた
なかなかハードな道のりだったのでした。
つづく。
もどる。