中近現代アレコレ平和祈念探方――広島・宮島行 Aug.12-15 2007
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ある機会に恵まれ、なんと広島県へ行くことがありました。
ある機会、などとシンプルに書いてはおりますが、陸奥国からほとんど出たことのない犬神が、東京ならまだしも、大阪のそのまた向こう側まで行くなんて、
ほとんど奇跡のようなことと思っており、極端な話このまま岩手から出ることなく生涯を終えても後悔はない、くらいに思っています。いや、もちろん機会があれば
何度でも行きたいと思っておりますので、また機会をください。いや本当に。私にジーフィーをっ!
少々無理をしてフラットフィールではなくなってしまいましたが、記憶とメモ帳とパンフレットを頼りに、今回の旅行を振り返り、感想とかを織り交ぜて銀塩写真の
ごとく定着させたいと思います。ひいては大分、長い文章になろうかと思いますが、しばしお付き合い願います。
第一章 「所要時間7時間くらい」
先に申し上げたとおり、私は陸奥国出身・在住ですので帰省という概念がありません。もしどこかに遠出するとすれば、それは東京方面へ向かうことであり、帰省の
ラッシュというのを味わったことがなかったんですね。東名高速のラッシュは以前味わったことがありましたが。
で、今回。盛岡から東京まではよろしい。問題はそのあとであって、東京から東海道〜山陽道(でいいのかな)を通って広島まで行くところが難しい。折からテレビで
ラッシュのピークは11日とか12日とか言っており、まさにそこに飛び込んでいく無謀な行為。とはいえ恐らく他の多くの人々と同じように、この期間しかないのだから、
あえて体験するのもまた一興、とかと斜めに構えて盛岡駅の改札をくぐ……止められました。何故だ!?
なんと事前に購入した新幹線のチケットが、前日の日付だったんですね。ギャフン! いきなりアクシデント発生か! なんて慌てることなく、チケットを買いなおして
予定通りの列車に乗って東京へ。
実は修学旅行等、誰かについていって東京駅を歩いたことがあるものの、自分の判断で歩いたことはなく、東海道新幹線に乗れるのかと少しく不安もありましたが、
迷う前に看板があったので、そのままあっさりと列車へ。
ホームには人がたくさんいました。最後列がわからず、そのためにホームの端っこの入り口に立ち、ドアが開くと同時に順序良くなだれ込む。自由席だ。さあどこだ。
座れるか。座れるか。
座れました。あっさりと、というわけでもないのですが、運良く、というのは間違っていないでしょう。ちなみに極端に込み始めたのは名古屋からでした。
というわけで4時間ほどになりましょうか。東京から名古屋、名古屋から……京都と大阪はどちらが南側だっけ? 大阪の隣が神戸だよな……で、その次が岡山で……
と、まあ地理の教養が著しく欠けている醜態をさらしながらも、ひとまず南へ南へと向かいました。大阪の人が岩手県の場所をわからないとしても、これからは決して
文句をいえないようです。
そして14時過ぎ。朝は7時30分に出たので、7時間ほどの旅程となったわけですが、ついに広島へ到着。駅のホームにて当地をいっしょに巡る方と合流、いよいよ
広島、テレビと写真と想像でしか知らなかった未知の場所・広島県へ降り立ったのでした。
第二章 「幻のスーパーカー」
スーパーカー! 私たちはこの言葉に憧憬を禁じ得ませんッッというか恐らく私ひとりだけが並外れて憧憬を禁じ得ませんッッッという感じなのですが、ともかく最初は
交通博物館というところに行って来ました。駅からアストラムラインという、たった今googleで検索するまで正式な名前を思い出せなかった(スミマセン)地下を走って
いたかと思ったらやたら高いところを走っている電車に乗って移動。ざっと30分くらいでしょうかね。
駅から降りたところにしまむらがあり、なんだか別なところに来た感じがしませんでしたが、ともかく交通博物館へ。
常設展は着いた時間が遅かったのでちょっと間に合わなかったのですが、企画展「懐かしのスーパーカー」には間に合い、早速私の愛機α-sweetを取り出しました。
入る前、外からガラス越しに見えるあの白いシルエットは……
トヨタ2000GTです。国産スーパーカーですね。私はフェアレディZの方が好きだったりするのですが、それはやっぱり本物を見たことがなかったからかな。
なんか角が丸くてグラマラスな感じがいいですね。それでいて中身は結構なスペックなわけだし、リアルタイムで見ていた世代の人たちにとってはたまらない感慨
でしょうね。
ランボルギーニ・イオタ。福野礼一郎「幻のスーパーカー」によれば、レーシングカーを作らないことを社是にしていたランボルギーニ社の中でエンジニアが作った
レーシングカーです。もっとも本物は事故でスクラップになってしまい、いま私の目の前にあるのは量産型をベースに作ったレプリカなのですが、そのレプリカも5台
しかないということですし、この目で見ることができるとはまさに奇跡といえましょう。
あとはスーパーカー世代にはおなじみながら、本物を見るのはやはり初めての「カウンタック」。これは割合後期の、エンジンがパワーアップしたクアトロバルボーレ
というモデルですね。普段はちょっと通ぶってクーンタッシュとかクンタッシとかと言ってみるのですが、やはり「カウンタック」でしょう。
というわけで、私ひとりがやたらヒートアップしてしまい、連れの皆々様には申し訳ないと思いましたが、ともあれ本物のスーパーカーを目の当たりに出来て、すごく
うれしかったです。フェラーリは一応、テスタロッサは見たことありますが、「カウンタック」は見たことなかったものでね。
第三章 「市街地を行く」
名所・史跡ばかりではなく、やはり現在の街を見るのも楽しみですよね。あとは食い物。やはりミーハーというか、純観光客として、それらしいものを食べたいと思う
のが人情でありまして、とりあえずお好み焼きというやつを食べることにしました。
今回行ったのは駅ビルの中にある「すてっぷ」で、とりあえず広島風と言えば焼きソバだろう、ということでこれを注文、もさもさと味わいました。なにやら実際には
うどんが入るという話でしたが、まあどちらかというと焼きソバが好きというのもあるので、今回はこれでよしとしましょう。
そのあとは街の真ん中にあるお城「広島城」へ。城好き・戦国好きの犬神には決して欠かすことの出来ない場所ですね。再びα-sweetの出番ですよ。
内部は様々な事柄が書かれた資料館になっているとはいえ、今なお水が張られた本気の堀に囲まれた広島城は、見事な姿をドンとたたえておられました。我が南部家の
盛岡城は所々残った石垣に名残を残すのみとなっておりますが、その姿ははるばる諜報ではなく観光に来た忍びをもウムムとうならせる美しい姿でした。
入り口がないので結局ぐるりとめぐって正門から入り、明治時代の大本営跡などを眺めながら入城。お味方が城内に突入しました! ブオォ〜ブオォ〜(ほら貝)。
1階から順繰りに色々と眺めていくと、石垣を登ってきた兵を撃退するための石落とし(三層天守で作れるはず)、鉄砲を撃つ小さな窓など、平時に建てられたお城
とはいえ防衛対策はかなりよく出来ているようでした。忍びが容易に入ってこられないよう、弥生時代の穀物倉庫にあったネズミ返しみたいなものもありますしね。
広島城は別名「鯉城」といわれているそうで、その関連で広島カープのことが色々ありました。また地元の会社の名前にもそれにあやかったネーミングが多いらしく、
いかにその愛称が地元の人たちに親しまれているのか、遠方より来た犬神もフムフムとうなずきました。岩手なら、「南部」なんちゃら、といったところでしょうかね。
最上階は展望台となっており、城下が一望できました。これまた盛岡城跡公園(旧名:岩手公園)よりもずっと高いため、さながら大名のごとき気分を味わうことが
可能です。いいなあ……岩手にもこういう天守閣、作ってくれないかな、などと、南部に仕える忍びでありながら、ほんのちょっとうらやましくなった犬神でした。
夜は、投宿するホテルが歓楽街の真ん中にあるので、ホテルに程近い場所にある焼肉屋にてホルモン等を大量に食しました。盛岡であればせいぜい腸とか心臓とか肝臓
ぐらいのものでしょうが、こちらではやたらバリエーションが多く、とりわけ豚の乳房なんて言うのは恐らく私の住まう街では絶対食べられないだろうな、とかと。
そうそう。広島の交通といえばやはり路面電車ですね。よそから来た人間にしてみれば、道路を自動車と電車が並進している光景なんて言うのはある種のファンタジィ
に近く、ニコンやキャノンのでかい一眼レフを抱えた人々がみんな写真を撮っていました。あくまでもよそから来た人間だから、ということですが、実際的にもこの路面
電車というのは早くて安いのがうれしいですね。盛岡にもできればいいのに……あ、盛岡は「でんでんむし(※)」があるからいいのか。
※ 「でんでんむし」は地元のバス会社が運営する市内循環バスで、基本的にはどこまでいっても100円という乗り物です。今でこそ自動車で移動することが多いので
それほど利用はありませんが、非常に便利な乗り物には違いありません。もっとも、本数はそれなりですが……。
で、ホテル。「ホテル28広島」というところでしたが、ここは部屋の洋風呂のほかに大きめな公共浴場がありました。ホテルなのに。でもってサウナもありました。
お湯はややぬるめでしたが、サウナは暑めで、汗をかくのが好きな犬神、じっくり入って……いたかったのですが、とりあえず初日はアルコールが入っていたこともあり、
早めに出てきてしまいました。
で、とりあえず部屋ではこれといったこともせず休息。以前なら夜景を見ながら一服……なんてこともしたのですが、このところはにおいも気になるし深刻に健康が
気になるし、煙草はいけませんぜ。禁煙、といった志を打ち立ててるわけではないのですが、こんなに苦しいのなら……煙草などいらぬ!
といったわけで、何かと緊張していないふりをしてみたものの、内心では緊張ガチガチの一日目が終わったのでした。
つづく。