それはレックスから始まった
――私の愛車遍歴(1) スバル・レックス編
(この文章は2012年ごろに書いたものです)





 2003年、10月。

 春からずっと教習所に通い、若干のブランクを置きつつも何とか運転免許を取ることが出来た22歳の私が初めて乗った車は、スバルの軽自動車『レックス』でした。

 自分自身で車を買うことが出来ないような経済状況だったので、例によって親父が探してきてくれたこの車、聞けば同級生の運営する自動車工場で代車として使われていた ものを3万円で引っ張ってきたのだそうです。

 グレードは『マレノ』というもので、白くてちっちゃい、可愛らしい車でした。あと、軽自動車でしたがなぜか4気筒エンジンで、CVTを搭載していたのが、今思うと すごく特徴的でした。

 4気筒エンジンの恩恵はあまり体感出来ませんでしたが、CVTは非常に面白いシステムでしたね。クリープ現象はないし、一般的なATと違って、加速に段つきがないから モーターみたいにミューンと加速していく感じが好きでした。

 一方で、交差点で信号待ちをしている時にいきなりエンジンが止まってしまったことがありました。教習所でもAT車は1時間しか乗ったことがなかったので、

 「ギアをパーキングにしないとセルモーターが回らない」

 ということを知らなくて大焦り。周りの人たちに大迷惑をかけてしまいました。もしかすると、この経験が私のMT好きの遠因となっているのかもしれません。


 そんな初愛車との付き合いはわずか2ヵ月で終了しました。

 手元にきたのが10月で、車検がその年の12月。そういうわけで工場に持っていったところ、FF車の宿命・ドライブシャフトブーツの破損にともなう交換で、10万円くらい かかる、ということでした。

 まあ、そこは親父に何とか頼み込んで、修理してもらうことにしたのですが、それから数日後。

 様子を聞いたらまだ何もせずに放置しているということを聞いた親父が激怒、かってに修理依頼をキャンセルし、そのまま廃車にしてしまったのでした。

 私は収入のない身分だったので、その決定に従うしかありませんでした。従うしかありませんでしたが……非常に残念な気持ちがしました。


 次に私が私の意のままに乗りこなせる自動車を手に入れたのは、それから3ヵ月後。卒業式を迎えたあとのことでした。




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