熱い心とまぶしすぎる輝き――
『レガッタ!』『きみはジョッキー』『レーシング少女』を通して私が感じたこと
<はじめに>


ことさら卑下するわけでもなく、弁護するわけでもなく、可能な限り公平な見方をした時――
 
 私の十代後半は『逃げとごまかしの人生』だったと思います。
 
 面倒くさいことから極力逃げる。どうしても逃げられない時は適当にごまかす。当然ながら体力も学力も人望もない人間になってしまうわけですが、それでも「どうせ頑張ってもダメだから」つって努力しない。そのくせそれなりに自尊心とかはあるから、アニメやマンガやゲームの中でなりたいものになる。
 
 要するに『おたく』だったんです。
 
 当時はそういったところを見咎められることは、もう学校に通えなくなるくらい恥ずかしいことだったので、私を含めた愛好家たちは隠れキリシタンのように振舞っていました。学校でそういう話をする時は人が寄り付かないような場所に移動したり、暗号を使ったり。
 
 その傾向は二十代になっても続きました。社会人になってからはごまかしが効かず、かなり追い込まれた状況になりましたが、その時は向精神薬を処方してもらい、それで何とか過ごしました。この時点でも欠陥だらけの自分を変えようとは思いませんでした。
 
 その代わりにごまかしの技術をいっそう磨き、手は抜くけれど気は抜かない一般的サラリーマンの過ごし方を身につけました。頑張れば10割やれるところを7割かそこらで済ませる。でも対外的には頑張っているように見せる。酒もタバコも人並みにこなし、このまま年を重ねていくのだろう……と思っていたのですが、あることをきっかけにそんな生き方を変える決心をしました。
 
 「引け目を感じるくらいなら、その原因を断とう」
 「完全に断ち切ることは無理でも、自分が納得いくレベルまでは引き上げよう」
 
 と発起。思いつくまま色々なことにチャレンジし、何度か危ない目に遭いつつも(川で深みにはまって流された、山で自分が歩いてきた道がわからなくなった、など)何とかここまで来ました。
 
 
 今回、わざわざ特集と言う形を組んで取り上げた作品たちは、いずれも十代の女の子で、しかも全身全霊をささげて各競技(ボート、競馬、オートバイ)に取り組むバリバリのアスリートが主人公の物語です。以前の私であれば、まず向き合うことができなかったと思います。自分のダメダメさ加減に堪えられなくて。
 
 今の私も、決して満足いくものではありませんが……少なくとも正面から向き合い、打ち合うことはできました。十分、健闘したと思います。
 
 長くなりましたが、これが前置きです。以下のリンクから、各作品の感想文にいけます。
 
 
 『レガッタ!』
 
 『きみはジョッキー』
 
 『レーシング少女』
 
 
 
おわりに



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