PROJECT NEKOTORA


びなす乗船記 2017年1月19日/3月11日



 2016年3月、北海道新幹線、開通。
 
 これに伴い本州と北海道の距離はグググッと近づきました。いや物理的な距離は変わらないんですけど、所要時間は思いっきり短縮され、 極端な話日帰りで函館旅行! なんていうこともできるようになりました。私が現在仕事をしている青森県十和田市なんて、いわば隣県ですから、 なおさらです。

 しかしながら、そんな時世にあってなお私はフェリーを好みます。

 まずフェリーターミナルまで車で2時間弱。そこから3時間40分。あまり日帰り旅行というのは現実的ではありません。だから2〜3日まとまって 休みが取れた時でなければ、函館への旅行はしません。

 しかしながら、それでも私はフェリーを好みます。

 コストの問題? え〜え〜もちろんそれはありますよ。人ひとり、二等室(スタンダード)だったら2千円ほどで行けますからね。新幹線と比べたら 格安もいいところです。でも、それだけじゃないんですよ。

 長い時間をかけて旅するからこそ、楽しみがあるんです。私にとってフェリーはただの移動手段ではなく、大いなる楽しみを含んでいるのです。

 今回、私が乗船した「びなす」。思えば私が2015年11月、初めて函館に渡った時に乗船したのも「びなす」でした。そして本船は3月11日より就航する新造船『ブルーハピネス』に取って代わり、引退したのでした。

 特に引退式とか、そういうこともなく、深夜に出航→早朝に到着した「びなす」。まるで船舶マニアの人のように、わざわざそれに合わせて仕事を休み、思いっきり船内を激写して来たので、乗船記という名のメモリアルを書いてみたいと思います。

この記事を愛すべき美の女神にささげます。


   本船は後発のカジュアルクルーズ船と違い、車両搬入口から乗り込みます(新型船は飛行機のようなボーディングブリッジから搭乗)。ある程度車両の搬入が おわってから、このようにエスカレーターを利用して客室へ…。

   

二等室…すなわち大広間です。特に仕切りとかなく、みんなでゴロゴロする空間です。もちろん私は何も気にしません。荷物を適当な場所において、さっさと船内探索へゴーしちゃいます。

 
(船内ロビー:パノラマ撮影。画像をクリックすると拡大します)



 一応、この船に限らず食品の自動販売機とか(えさん2000はカップラーメンだけ)、そういうのはついているんですが、本船は「オートレストラン」という名称で 紹介されています。
 

後発のブルーなんたらシリーズの「オートショップ」に対する「オートレストラン」とは何か。すなわちこういうことです。

 

…館内案内図を詳細に見て推測するに、かつては厨房スタッフがいて、本当にレストランとして活躍していたのではないでしょうか(厨房要員控室、というような部屋が あるようなので)。まあ、それっていうのはかつて青森から室蘭まで行っていた時代の話であり、たかが3時間40分程度の船旅であれば、わざわざ船内で食事をするような 人はそうそう多くないでしょうからね。初めから津軽海峡を行き来するフェリーとして設計された現行の船にそういうコーナーがないのも、きっとそういうことなんでしょう。


 ただ私としては、やはりテーブルのない大広間とか、ロビーとかで食事をするのは少々抵抗があります。こうやってきちんとレストラン区画で食事をしてこそ、いかにも 船旅をしているのだなあ、という気になるのです。たといそれが冷凍食品であり、それを業務用強烈電子レンジでチンするだけの食事だとしても(それ以外のものを入れると爆発する恐れがあるらしい!?)。
 
いや、そうはいってもこれが また、結構おいしいんですけどね。



さて食事を終えた後は、再び船内を探索します。

 
 現行のブルーなんとかシリーズにも『ゲームコーナー』はありますが、私のような生粋のゲームマニアがうなるビデオゲームは一台もありません。クレーンゲームとパチスロだけです。
 それに対して、やはり90年代の船である『びなす』には、このようにビデオゲームが設置されています。これは『ときメモ対戦ぱずるだま』ですね。このほかに『アイドル麻雀ファイナルロマンスR』と『ホットギミック3』がありました。

  

 浴室です。かつては青森から室蘭まで行っていたそうですが、大きな浴槽があるのはその名残でしょう。青森函館間の短い航路であれば、のんびり湯船に浸かる余裕もないので、シャワーだけが使えるような状態でありますが、アメニティ類も完備されています。おかげで綺麗サッパリした気分で上陸することができます。

さて、以下は早朝便で行った時の写真です。手持ちのスマホカメラで撮影したため、画像が壮絶にブレブレになってしまいましたが、何せ強風吹き荒れる津軽海峡上でしたからね。ご容赦ください。



 と、こんなところでしょうか。とにかく大量にある画像を矢継ぎ早に盛り込んでみました。

 1995年に就航し、函館に行ったり室蘭にいったり、会社が変わったりしながら多くの人々の夢と希望を乗せて海を行き来していた女神は、その役目を終え、ひっそりと表舞台を去りました。

 私はその日のうちに帰ったのですが、ちょうど最新鋭船「ブルーハピネス」の処女航海に乗り合わせることができました。就航記念のグッズもいただいちゃいました。ラッキー♪

 土曜日だからなのか、それとも新造船だからなのか、船には多くの人がいました。そして、スマホカメラやらタブレットカメラやらデジイチやら、多くの人が船内外の写真をビシバシ撮っていました。

 そんな中、私は甲板から夕暮れの海にたたずむ女神の姿をカメラに納めました。



 さようなら『びなす』。そして、ありがとう『びなす』。

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