新・宇都宮探訪録――これが最後と思って

 まあ、本当に最後になるかどうかはわからないのですが、そもそも宇都宮に行くことができる理由が、私の兄者がこの街に拠点を置いているから。なのに、なにやら近々 この街を引き払わなければならないというわけで、そうすると気軽に高速をノンストップでぶっ飛ばしても4時間もかかる北関東は栃木に行く理由など……。

 ということもあって、今回はかなり軍資金を携えて赴きました。とりあえず、ある程度以上欲しいものは買う。そのつもりで、これが最後となってもいいように。

 結果的には、とにかくよかった気がします。

 これは、そのよかった記憶をきちんと整理するための記録です。


 1.街を行く

 宇都宮市街というのは、車で走るにはとても大変なところだと思いました。

 何せ車線が多い割にいきなり左折専用レーンになったり、狭くなったり、その中を傍若無人に走り回る車がたくさんあったり。ハイスピードでぶっ飛ばすのは岩手でも 割とよくあるのですが、それでも街中の交通ルールは割と守る人が多いだけに、この無法振りにはかなり辟易しました。

 まあ、そんな苦労を兄者にさせて後部座席にてアレコレ言っていた私を乗せて、とりあえず向かったのは宇都宮の中心にあるデパート、そう『長崎屋』! なのです。

 ここに車をとめて、とりあえず向かったのはその長崎屋から程近いFestaなるビル。地下にゲーセン、上層階にはコスプレグッズの店があり、マンガ・ゲーム・CD などが山ほどあるその筋の人には有名な『まんだらけ』があり、その上はよくわかりませんが何か趣味的なお店があり。とにかく初めて来た時は、テレビの中でしか見たことのない 世界があった! などと、大変にカルチャーショックを受けてしまいました。

 まあ、例年であれば厳しく己を律し、多少気持ちのゆらぎを感じつつも、何も買わずにやり過ごすところなのですが、今日は本気で買いに来たので、ゲームもCDも マンガもじっくりと品定め。その結果、『バーニングフォース』と、そもそも出ていることさえ知らなかった『アンダーカバーコップス』のサントラを購入。早速これで いい買い物です。

 昼は、長崎屋の地下で餃子……を食べようとしたのですが、すさまじい行列のため、これまた近くの『バルチックカレー』を食べました。これも長らく話には聞いていたものの、 どんなものか一度も食べたことがなかったので、とりあえずこれはこれで嬉しい体験でした。

 割合に狭い店内は、カウンター席のみ。入り口で食券を買い、それをマスターにほいっと渡して作ってもらうというスタイルも、割と普通の食堂っぽいところを想像していた 犬神にとってはちょっと意外でした。もちろんそこで出てきたものは最高にうまいカレーで、他のふたりよりも大分遅れて出てきたものの、ガツガツと食べてしまいました。

 そのあとは長崎屋の書店でようやく出た冬目景先生の『ももんち』を購入。別にここで買わなくてもいいような気もしますが、いやいや、いつかの広島でもそうしたように 旅先でマンガや本を買うのが私のお決まりなので、いいんです、ええ、いいんです。

 そしてご飯を食べて、長崎屋を出たのが大体、午後2時頃。さてどうしようかとなった時に、私が言ったのは……


 2.神仏習合!?


 「佐野厄除け大師に行きたい」

 まあ、ミーハーな理由です。北関東は栃木出身のU字工事のおふたりがネタで言っていたから、ずっとどんなところか気になっていたのです。高速を使って、結構な 距離を走ることにはなりましたが、次はない(かもしれない)ので無理を言って、何とかそちらに行ってもらいました。

 高速を降りて、しばらく走ると、なんだか古い町並みがそのまま残っているようなところに出てきました。まあ古い町並みなら岩手にだって結構残ってはいるのですが、 こちらはあまり知らない街だけに、なんだかいい雰囲気です。

 ただ、さすがは人気スポットだからなのか、なかなか駐車場が見つからず、結局裏の鹿島神社というところに車をとめ、そこから少々歩いて行きました。

 あとで考えると、近くに乗り付けていた観光バスの団体客が複数グループいたからなのかもしれませんが、SYDはなかなかの盛況振りでした。これは正月ともなると よりいっそう賑やかになるのかな。そんな風にも思いました。

 とりあえずお寺でお参りを済ませたあと、ここいらの名物である「いもフライ」というものを食べました。……要するにジャガイモのかたまりにコロモをつけて油で 揚げただけのものといえばそれまでなのですが、これはこの場所で食べるから名物なのでしょう(21世紀に入って発生したという噂も聞きましたが)。まあ、あとは 佐野ラーメンが有名なのですが、直前にカレーを食べてしまったので、この場で食べるのはいもフライにとどめ、ラーメンは土産として買うことにしました。

 ちなみに私が買ったのは……こちらです。

 早ゆでコルト45秒。まさか自分の会社の名前がラーメンにつけられているなんて、米国コルト社の人は夢にも思わないでしょうが、とにかくこのキャッチコピーが 非常に気に入った私は強硬にリクエスト、みやげ物に加えてもらいました。

 その後、街を走っているとこの早ゆでコルトをウリにしているラーメン屋がちらほら建っているのを見かけました。やはり、売れているのでしょうか。

 ……あ、そうそう。一応鹿島神社も同じ気持ちでお参りをしてきました。とりあえず、駐車場を貸していただいたことに対するお礼も含めて。


 3.予定ラッシュ、行動ダッシュ


 そのあとは弟者の希望で中古雑貨店などを回り、翌日は私の希望でゲーセンを回り、お昼を食べて午後2時過ぎに、いつものように通りすがりのウエンディーズで ハンバーガーを買い、矢板インターからいざ東北へ。

 お昼を食べて2時過ぎに、というのは、行列のできるラーメン屋『右京』に行ったから。……ここは初めて宇都宮に来た時から、まあ私の兄者の住まいから程近い こともあって、よく聞いていたのですが、あいてなかったり、あいていても大変な行列で辟易してしまったりと、なかなか食べる機会がありませんでした。

 ただ、今回はもラストチャンスのような気がしていたので、混雑と待ち時間を承知であえてエントリー。大体1時間ほど待ってようやく食べました。

 私はそこまでアレコレ語れるほど繊細な舌を持ち合わせていないのですが、そんな私が食べても十二分にうまいと感じる、さすがのラーメンでありました。って、 ラーメンについてはアレコレ語れるほどのボキャブラリーがないのでこんなものにしておきますが、まあ、機会があったら一度は食べてみるのもいいと思います。 ちなみに平均待ち時間は大体1時間くらいです。

 それから、時間が押したことの遠因としては、私がゲーセンで長時間居座り続けたから。詳細は別項 にて書きますが、『サイヴァリア2』はともかく『究極タイガー』 『大工の源さん』をそれぞれ、じっくりと取り組んでしまいました。特にも『源さん』はなんと! 2周して完全攻略してしまったのです!! これはすごい!

 もっとも、難易度設定が低かったから(かな?)、というのもありますが、どうあれアーケードゲームで1コイン2周クリアなんて生まれて初めてのこと。こういう 時間的に余裕のない時であればもっとよかったなあ、などと思いつつ、きっちりネームエントリーまでしてきました。

 そうして様々な収穫を手にして、帰途についたのですが……若干、混んでましたね。まあ、よくテレビで見るようにピタリと止まって動かないなんて、そんなことは なかったのですが、それでも一時的に20キロ平均ペースでズルズル進むようなこともあって、そのせいでちょっと到着時間が遅くなってしまったことはありました。その あたりを踏まえて、予想時間を組んでいた兄者はさすがなのです。


 4.悔いは……ないっ!


 そんなこんなで、大変に限られた時間の中でアレコレ済ませてきたわけですが、まあ、「これが最後でも悪くないな」というのが今の感想です。もちろん行く機会さえ あれば何度だって行きたいとは思いますが、よほど準備をきっちりしないとそれも難しいでしょうからね。

 これまで何度か行った宇都宮旅行を振り返ると、今回はそれほど目新しい見物もなく、それゆえ取り立ててこんなところで皆様に読ませるようなものもないような気も しますが、個人的な感覚としては、とにかく「よかった」とするべきでしょう。

 むしろ私が怖かったのは、その「よかった」という気持ちが薄らいでいくこと。そうすると、ちょっと残念な気持ち――というか、「また行きたい」という気持ちで モヤモヤしてしまうような気がするのです。

 だから、写真のように、こうやって記事にして、定着させて。それを時々読んで、記憶の中できちんと整理する。そうすれば、ずっと楽しい気持ちになれるような気がするので。


 栃木、というか、宇都宮。楽しかったです。

 さようなら。

 ――でも、またいつか行く機会があったらいいなあ、と思いつつ、今日のところは締めくくりたいと思います。  

 



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