PROJECT NEKOTORA


コレクターではなくユーザーとして
 ――我が愛機たちの使い分け、という名の言い訳




 本来、写真を撮るのであればカメラは一台あればよいのです。それが60年代のメカニカルカメラであろうが最新式デジタル一眼レフであろうがよろしい。予算の関係であえて90年代のAFカメラを使うのであれば、それもまた一つの選択肢でしょうし、何だったら毎日利用しているスマートフォンだって、きれいな写真が撮れるわけです。

 いま「予算の関係で」90年代のAFカメラを……という話をしましたが、それは皆様もハードオフとか、そういうところに行けばわかると思います。そう安いんです。当時10万円もしたような高級一眼レフが、物によっては数千円で買えちゃったりするんです(さすがにニコンF4とか、そういうレベルになればアレですが)。

 一方で名機の誉れ高いライカM3とか、そういうのになると、今でも10万とか20万とか、そんな値段が付きます。最新鋭デジタルカメラと変わらないような値段がついています。まあ、どういう部分に価値があるのかは人それぞれだと思うので、それに関してはさておいて。

 要するに私は、「カメラは使ってナンボ」だと思うんです。あくまでもカメラとは写真を撮るための道具。大枚はたいて買ったからとかなんとかあると思いますが、飾り棚に飾って触る時は手袋をつけて……とか、そんなことじゃ意味がないと思うんです。ライカだろうと何だろうと、写真を撮るためにこの世に生まれてきたのだから、動く限り現代の空気に触れさせ、写真機として使わなければいけない。そう思うんです。そして、それだったら何台も何台も買い入れてショーケースに並べて悦に入る……そんなことする必要ないと思うんです。


 そんな持論を持つ私だけあって、すでにペンタックスSPという愛機があるのに、α−7を買う時――また買った後も、その理由付けに悩みました。カメラなんか一台あれば十分。それなのにどうして2代目を買うの? と。

 これを後付けと言おうと何と言おうとかまいません。今の私はペンタックスSPとα−7の2本立てです。実際、それら2台を首から下げて撮影に行くこともしょっちゅうあります。それぞれの特徴、それぞれの用途によって使い分ける。そうすることで私は私を肯定するのです。以下、言い訳めいた釈明が続きます。


1st camera 「日常用カメラ」Asahi pentax SP

 特に差し迫った状況? がなければ、私はこれを使います。「今日は時間があるから、ちょっと写真でも撮りに行くか」そういう時はペンタックスSPを持っていきます。

 現在は露出計がちょっとおかしくて、ピーカンの屋外でさえ「f1.4」&「4分の1秒」でようやく針が動く……という状況であり(=空前絶後の露出オーバーとなるでしょう)、スマホの露出計アプリが必須でありますが、それでもスーパータクマーの瞳が捉える世界は魅力的です。ちょっとやそっとじゃ故障しないシンプルゆえの堅牢さも魅力ですし、一番信頼を置いているカメラです(露出計以外)。

2nd camera 「多目的カメラ」Minorta alpha-7

 これもある意味日常用カメラではありますが、やはりコンピュータ制御で多機能ですからね。何か、明確な目的があって「とにかくちゃんとした写真が撮りたい!」と思った時はこれを使います。電池切れとか、今のところそういうことは一度もありませんが、電子的な故障の心配は皆無ではないものの、それよりも高度なAF機能や色々なアシスト機能が魅力的です。極端な話、何も考えなくても被写体にレンズを向けてボタンを押せば、それなり以上に綺麗な写真が撮れるわけですから。それでいいでしょう。

 しかもズームレンズですから(ペンタックスSPは50o単焦点レンズ)。写したい構図の場所まで自分で走れ! というのも正論だとは思いますが、後ろが断崖絶壁とか、どうしてもその場所から動けない状況というのも多々ありますからね。そういう時24mm-105mmと、ある程度手元で画像を調節できるこのカメラは、より自由度が高くなります。更にレンズを変えれば300oの望遠写真を撮ることもできるわけですから、それだけ作画意図を反映させることができるわけです。

  「自分の力で勝ったのではないぞ。そのモビルスーツの性能のおかげだという事を忘れるな」

 これは「機動戦士ガンダム」に出てきたキャラクタのセリフですが、まあそういうことです。極端な話コンピュータ任せの写真でありますが、それでもなおシャッターチャンスを逃したくない時はこれを使います。その時ペンタックスSPは「非常用カメラ」というポジションに移り、万が一の時に活躍することでしょう。今のところ、そういうことはありませんでしたが。


3rd ? camera 「万能カメラ」F-01J


 それはカメラじゃなくスマホだろう! って? いやもっともです。その通りです。スマホについているカメラですスミマセン。

 私が所有する、ある意味? 唯一のデジタルカメラです。
 
 なんだかんだ言ってもデジタルカメラ、いいですね。フィルム現像代とか、そういうのを何も考えなくていいし、パソコンに取り込むのも簡単だし。気に入らなかったら消せばいいんだから、もう気軽にビシバシ撮りまくれます。しかも露出もシャッタースピードも銀塩写真カメラより幅が広いし、本当「ちょっと気になったらパチリ」そんな感じです。おかげで休日に街歩きとかに行くと、あっという間に100枚くらい撮ってしまいます。
 
 そんなわけで、日常――しかも、わざわざフイルムを消費するまでもないけど、ちょっぴり気に入った景色とか、そういうのを撮るサブカメラとして大活躍しています。あとは、フィルムカメラで撮影した場所をバックアップ的な意味で撮ったりね。
 
 あと、使い込んで――また一眼レフと使い分けているうちに気付いたこともあります。

 それは私が所有するカメラと比べて、結構広角な写真が撮れること。一つの目標をそれなりにクローズアップして写そうとすれば、デジタル的な拡大をしなければならず、その分画質が荒くなってしまうわけですが、大きな建物の近くでその全体を写したいとか、そういう状況ではスマホカメラの方が勝手が良かったりします。これはやはり、旧型のカメラを使いこんでいればこそ気づくスマホカメラならではの利点でした。


 と、まあ言い訳めいたことをズラズラと並べてしまいましたが、そういうことです。私にとってあくまでもカメラとは「写真を写すための道具」ですから、ちゃんと用途がなければ買う資格はないと思うのです。それであればこそ、何とか経済的破綻をまぬがれ健全なカメラ・ライフを楽しんでいるんだろうと思います。

 もしも興味の赴くままにカメラを買い入れていたら、今頃は部屋に何台もカメラが並んでいることでしょう。ニコンFM2とかオリンパスOM-1とかライカM3とか……それらが、いつ出番が来るかを心待ちにしながら防湿箱の中で息をひそめている……。

 でも、それじゃカメラがかわいそうですよ。それだったら、むしろその一台を生涯の伴侶のごとく愛し、使って使って使い倒すユーザーの下に行った方が本望じゃないかと。私はそう思います。以上!

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