大好きを伝えたい!
「メディフェス2023」に参加して



 さる3月18日と19日、メディアテークせんだいにおいて、ローカルメディアの天下一武道会『第18回市民メディア全国交流集会 メディフェスせんだい2023』というイベントがありました。こんな感じのイベントでした。



開催趣旨としては、おおよそ以下の通りです。

ケーブルテレビやコミュニティ放送を中心に表現・発信されていた初期の市民制作番組は、インターネットやスマートフォン、Youtube、facebook、twitterなどが登場し、市民一人ひとりがより手軽に表現・配信することができるようになりました。
(中略)
使えるメディアの種類が増え、より簡便になってなったとしても、私たちはそれを使いこなしているのでしょうか。人の暮らしを、地域・社会をより豊かにするために、それはうまく使われているのでしょうか。
(中略)
「メディフェスせんだい2023」は、その疑問からスタートします。思いが伝わらない。では、どのように伝えればいいのか、どうすれば伝わるのか。

(以上、開催趣旨より引用)

『伝わらない、伝える、伝わる』

 私も23年くらい前からホームページ、ブログ、Twitterと色んな方法で情報発信をしていますが、この言葉にすごく考えさせられました。自分は何を伝えようとしているのか。どうやったら、伝わるのか。そういうことを考えるきっかけになればと思い、参加した次第です。

と、真面目な理由付けをすればそんな感じですが、私が大好きな『ウラロジ仙台』さんも参加されるから、というのが最大の動機です。「面白そうだから行ってみよう」結局そういうことだったのですが、結局オープニングからエンディングまで、しっかり講演を見させていただきました。そのまとめです。時系列にまとめていきます。

 10:30 
パネルセッション
『地域の新たな発信の形・ハイパーローカル』

 ハイパーローカルという言葉を初めて聞いた私でありますが、これはすごいですね。プロデューサーとか音頭取りの人はもちろん必要ですけれど、その人たちと一緒に住民の人たちが身の回りのことを発信することが、こんなに面白いことなんだなということを見せつけられました。

 しかも、面白がってやっているうちにだんだん上手くなっていくというのが、さらに良かったですね。その点については私も共感できます。今の文章が決して上手だとは思いませんが、少なくとも昔書いた文章よりは、少しは読み易くしているつもりです。独学でもなんでも、やっぱり長く続ければ、良くなっていくものなんです。

途中で熊本の東峰テレビさんの生放送と中継がつながり、私もカメラに向かって手を振りました。結構近めの位置だったけれど、どんなふうに映ったかしら。こういう形であれ、私もメディアに参加させてもらったような気がして面白かったです。

12:30 
パフォーマンス&パネルセッション(3)
『誰でも社会〜社会的少数派からの発信』


インフルエンサーの『つーさん』さんです。未治療・未手術のトランスジェンダーで、LGBTQ+、日常、グルメの情報発信をTwitter、インスタグラム、TikTok、YouTubeで行っておられます(プログラムの紹介文より引用)。

次に登壇されたのは、「社会的に少数派と位置付けられる方々」(紹介パンフレットより)。身体的な障害のあるとか、精神的な障害のあるとか、トランスジェンダーだとか、そういう人たちが行っている発信の方法について。この辺が、真面目な意味では一番コアなところだったかもしれませんね。

 わざわざカギカッコをつけて「少数派」云々といったのは、私自身あまりそういうので区分けしない人間だからです。確かに私は五体満足ですし、ADHDとかASDを障害というのなら私も障害者なのかもしれませんが、自分が身体的にも精神的にも男性であることに違和感を感じない人間です。

 でも、それはたまたま「自分とはちょっと違う」だけであって。面白いと思えば素直に受け入れます。そのうえで、今回の講演を見た限りでは、みんな情報発信をすることをすごく楽しんでいるのだろうな、と感じました。私は私で、「へえ、そういう考え方もあるんだ」「ああ、それは面白いな」「う〜ん、いいなあ」と、ひたすら素直に楽しんでしまいました。後でまた書きますが、やっぱり発信されたものを受信して面白がる人があってこそのメディアだと思うのです。

 15:00 
誰でもメディア〜最新メディアを学び、使いこなそう!

 ここから雰囲気がガラッと変わりました。最初に登場したのはメタバースアイドルでVtuberの『蘭茶みすみ』サンです。ローカル新聞の話から始まったセッションがついに次元を超えてメタバースに行っちゃいました。

 恥ずかしながら私にとってのメタバースとは「ああ、なんかそういうのがあるみたいだね」という程度の認識しかなかったのですが、これは面白いですね〜! 自分がマウスやキーボードを介してではなく直観的にコンピュータの中にある「それ」を触る感覚なのかな。そういうのを疑似的に体験することができて、すごく楽しかったです!

 もちろん「楽しかった」だけじゃなくて、すごく心に刺さることもありました。私も一応ADHDでASDという人間ですからね(当然、程度にはグラデーションがありますが)。生きづらさとか、メタバース空間なら自己表現を思いっきりできるという利点とか、共感と憧憬をいっぺんに感じました。これを極端にわかりやすい言葉に翻訳すると「面白そう! やってみたい!」ということになります。

 そして最後は、われらがウラロジ仙台さんです。ロゴがうちのサイトとよく似てますね!

私がお話を聞いて考えたことは、「伝わる文章をどのように書くか」ということ。そう、どれほど大好きで熱い想いがあったとしても、伝えるためには技術がいります。読んでもらわないことには伝わらないのです。

そのために、読み手を引き付ける最初の「つかみ」をわかりやすく面白く書くとか……確かに基本的なことかもしれませんが、改めて意識すると「果たして、自分の文章はどうかな?」と少し冷静に見つめなおすことができるような気がしました。どうかな? と言って見直して、どうかといえば……まあ、それは言うには及ぶまいってやつですよ。お察しください。

そのあとは同人誌『南のエデン』の紹介……そして衝撃の「おいティッシュ食わねえか」という展開ですね。それまでの真面目でお固い雰囲気が一気にザワザワしましたが、それでこそウラロジ仙台さんだし、個人的には「やってくれたぜ!」と快哉を叫んだものです。

 

17:00 
エンディング・セッション

 最後は司会の方から「今日ご来場の皆様からも意見や感想を聞いてみましょう」というお話があったので、

 「せっかくだから、私もちょっと感想を一言、言ってみようかな」

 とお祭り的なノリで軽く考えていたのですが、そこで展開されたのは思わず震え上がってしまうような場外乱闘でした。

「自分のような面白半分の人間が、どのくらい会場にいるのかなあ」と思ってはいましたが、出るわ出るわ凄腕のプロたちが。第一回からメディフェス見てますとか、障碍者の支援団体を運営していますとか、あの週刊金曜日の記者をやっていますという方とか、そうそうたるメンバーがそろった中で壇上の人たちも真面目な受け答えをして。

  このままじゃ時間が無くなる……と内心焦りだした私。残り10分を切ったところで一世一代の大勝負! とばかりに手を上げました。そして緊張と焦りで震えながらも、これまでの思いを精いっぱいアピールしたのでした。その模様は公式youtubeの中にもあります。

7時間20分過ぎあたりからしゃべり出す「仙台の佐藤」が私です。自分がADHDだとかASDだとかというのは、アピールするつもりはなかったのですが……気持ちが熱くなりすぎて抑えられず、言っちゃいました。

 下手でいいんです。聞き苦しくていいんです。忘れられてもいいんです。とにかく私にとっては、ちゃんと自分の気持ちを発信することができた――そのこと自体が大きな、人生最大に大きな意味を持つのです。

 それは私の「至誠」です。

 行き詰って、ちょっと危なくなって、何とかしようと思って仙台に来て。ウラロジ仙台さんのイベントで「自分の大好きを発信する」ことの楽しさを教えてもらって。さらに今回のメディフェスで様々なメディアの発信方法やその効果、面白さを教えてもらって。そうやって私に生きるエネルギーをくれたすべての人たちに対する至誠が、その発言だったんです。

youtube配信後、参加者と会場にいる人たちで集合写真を撮ることになり、そこでドサクサに紛れ込んだ私。なぜかいっしょに写真を撮っていただきました。そして直接、ウラロジ仙台『恐山・R・クロフォード』編集長にも自分の感謝の気持ちを伝えることができました。それも含めて私の至誠を貫き通すことができた。そんな興奮も冷めやらぬままツイートしたのがコレです。



 まとめ:「伝えたい」から始めよう



短くまとめたつもりでしたが、結構な分量になってしまいました。最後は簡潔にまとめます。

私も「誰が見ているんだろう」とか言いながら、23年間もこういうのを続けてきました。「もういいんじゃないかな」と思ったことは何度もありますが、それでもまた書いてしまうのは、やっぱり「伝えたい」という気持ちが起こるからです。

今回、いろんな人たちの話を聞いて再認識したのは、自分が考えていること――伝えたいから伝える、面白いと思ったから伝える――それはみんな一緒なのかな、ということです。あとは、伝えるためにどうすればいいのか。やっぱり上手な方が伝わりやすいですからね。

そこでやっぱり、「面白がる」ことと「続ける」ことなんですよ。つまりこういうことです。



私の場合はこれまでもこれからも無手勝流、はたまた御勝手流とでも申しますか。誰にも教わらずに自分なりの文章を書いていくことになるとは思いますが、色々とオープンにしてしまったこともありますし。新たな気持ちで、『市民メディア』という言葉に負けないくらいの文章を書いて発信できるようになりたい! という指針が心の中にできたのでした。

2023年3月30日 佐藤非常口@仙台




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