しおがま市民まつり2023に行ってみた!
――実録レポートまとめ



 2023年4月23日、宮城県塩竃市で『しおがま市民まつり』が開催されました。本塩釜駅前の道路を大きく規制して会場とする形式で行われたのは4年ぶりとのことです。



 地元だけでなく白石や気仙沼からやってきた多くの模擬店が軒を連ね、会場は多くの人出とおいしそうな匂いで満たされました。また、本部近くには特設ステージ(プロレスのリング)が設置され、その前では太鼓・吹奏楽・ダンスなど様々なパフォーマンスが披露されたあと、新崎人生プロデュースの特別興行『塩竃プロレス』が開催され、これまた大盛り上がりでした。

 私も運よく公休だったので現場に入り、ツイッターで連投したところ大いに反響をいただきました。そこで、せっかくの記憶をちゃんとした形で残したいと思い、今回改めて記事を書きます。『市民メディア』の練習という意味もあるので拙文ではありますが、雰囲気が伝われば嬉しいです。

オープニングは「伝統芸能キッズ」!



 オープニングは地元塩竃市の『いそやまあかり太鼓キッズ』の演奏です。Facebookによると結成28年を超える伝統の和太鼓団体です。地元だけでなく宮城県内各地のイベントでも演奏しているようですね。割と速いテンポで体がリズムを刻むような軽快な演奏は、これから始まる楽しいイベントを期待させる、素晴らしい内容でした。

風ニモマケズ!? 名演奏!





 次はそれぞれ塩竃市立『第三中学校』『玉川中学校』『第一中学校』の吹奏楽部の皆さんによる演奏です。保護者とか学校関係者でもないと、なかなか演奏を聴く機会はないですからね。せっかくのチャンスなので、しっかり3組とも見させていただきました。

 演奏された楽曲は、誰もがときめく夢の国のマーチあり、『群青』や『可愛くてごめん』といった今風の楽曲あり、『笑点のテーマ』『愛燦燦』のようなクラシカルなものもあり……私も含めた老若男女誰でもが楽しめる構成でした。さらに演奏の途中で楽器を置いて可愛らしいダンスを踊るパートもあったりして……「そういうのもあるのか!」と新鮮な気持ちになりました。進化してますね〜。

 一方で、これは屋外イベントならではのことですが、演奏中に風で楽譜が飛ばされてしまうようなアクシデントもありました。しかしながら、最前列で見守っていた観客がすぐに楽譜を拾い集め、関係者の人たち(または演奏している子のところ)に戻したので、最後まで無事に演奏を終えることができました。こういう一体感? があったのも良かったです。

ガンバレ先輩! 塩高ダンス部、躍動す!



さて吹奏楽の次は、塩竃高校ダンス部の皆さんの登場です。全国大会にも参戦するくらいの名門です。今回は2〜3年生のメンバーがパフォーマンスを披露してくれました。

新入部員の1年生らが両サイドで先輩たちに声援を送って盛り上げつつ、軽快な音楽に合わせて躍動感のあるダンスを披露してくれました。……スミマセン、どうしても見慣れていないために、うまく伝えられないのですが、とにかくハツラツとしたパフォーマンスで気持ちがとっても明るくなりました。良かったです!

塩竃出身レスラー、地元凱旋! 


 こうして地元の学生の皆さんによるパフォーマンスが終わったあと、いよいよ新崎人生プロデュース『塩竃プロレス』の始まりです。

 試合の前には「日本最小プロレスラー」でみちのくプロレスの選手会長「のはしたろう」先生によるちびっこプロレス教室が開催されました。選ばれしキッズたちがリングに上がりロープワークなどの基礎練習を体験し、最後はいっしょに指導に当たっていたはずの山谷林檎選手にブレーンバスターをかけた(!?)ところで終わりました。

そのあとはシングルマッチ、タッグマッチあわせて全部で3試合が行われました。

久しぶりのプロレス観戦だったので知っている選手と初めて見る選手が半々くらいだったのですが、皆さん非常に激しい動きで会場も大盛り上がりでした。

あと、実況と解説の人が、プロレスを初めて見る人でもわかるようにルールの説明や選手のエピソードなどを随時入れてくれたことが大きいでしょうね。特に、実況のなかでうまく「ここでコールするんだよ」というタイミングを教えてくれるので、いいタイミングで会場中がピンチの選手を応援するような空気が出来上がってました。盛り上がったな〜。

メイン終了後はプロデューサーの新崎人生さんが挨拶をしたのですが、最後に締めくくったのは塩竃出身の『愛澤No.1』選手でした。ちなみにこの日の実況を担当した地元FM局のパーソナリティ『アサノタケフミ』さんとは中学の同級生とのことで、会場に「同級生! 同級生!」という謎のコールが湧きおこる場面がありました。


一度はケガのために引退するもカムバックし、今回「地元・塩竃で試合をする」という夢を叶えた愛澤No.1選手。見た目的には結構ド派手な格好をしていますが、「また塩竃で試合をしたい」という思いはとても熱くてまっすぐなものだと感じました。それは私だけでなく、会場にいた全観客がそうだと思います。自然と声援が沸き起こりました。私も応援します!



最後は全選手集合して記念撮影。このあとリングは素早く解体され、また駅前や道路の模擬店も撤去が始まりました。

この日の最も大切なイベント――塩竃神社を出発して街中を巡行している神輿を迎え入れる準備が始まったのです。

神事とはかくのごとし……

私はあくまで遊びに来たお祭り野郎に過ぎないのですが、模擬店の解体作業と並行して、ゴミ袋をもって会場をくまなく見まわるボランティアの人たちがいたんですね。私のように食べ終わった後の空箱を持っている人がいれば声掛けをして回収し、道に散らばったゴミがあれば丁寧に拾っていく……これは今だから言えるのですが、単に「キレイにする」以上の大切な作業なのですね。「清める」といってもいいかもしれません。

ボランティアの人がゴミ掃除をしたあとは、神輿を安置するための台が用意され、さらにロータリー一帯に塩がまかれました。周辺には風雅な音楽が流れ始め、先ほどまでの賑やかさが一変、どこか神秘的な空気が漂い始めました。





そしてやってきた神輿は……私が想像していたよりもはるかに厳かに、静かにいらっしゃいました。まず裃を付けた人たちが先導し、さらに鉦や太鼓を打ち鳴らす少年少女から特別に派手な服を着た神職の人などに守られてご来臨したのでした。

派手な服を着た神職の人が祝詞をささげ、地元商工会や観客の人がお賽銭をあげ、少年少女らはつかの間の休息をしたあと、塩竃の神様を載せた神輿は去っていきました。




太陽の方に向かっていく神輿とお供する人たちを見ていると、「ああ、これが神道なのだなあ」と思いました。司馬遼太郎氏が塩竃に来た時に「神道は気分だ」と言っていましたが、そうです、こうして私のような俗人も心が清浄になるのが神道なんです。


  *


こうして、本当にすべての祭事が終了し、交通規制も解除されようかというところになって、私も塩竃を発ちました。

こうして記事を書きながら改めて考えると、今回の「しおがま市民まつり」というのは、商業的にも精神的にも大切なイベントだったのだな、と思います。精神的に、っていうのは、もちろん神輿巡行のところですね。

私もたくさん刺激を受けましたし、「文字速報みたいなことをやってみる」という試みが予想以上に成功したということも、大きな成果でした。

それを一過性のものに終わらせず、ちゃんとした形に残したいと思ってこの記事を書きました。これを読んで「ああ、こんな感じだったんだ」という雰囲気が少しでも伝わるように願いながら記事を締めくくります。お読みいただき、ありがとうございました。

2023年4月26日 佐藤非常口@仙台




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