1枚目 「ペンタックスSP 私と愛すべき大衆機との出会い」




 「はじめに」



   『アサヒペンタックスSP』。東京で1度目にオリンピックが開催された1964年に発売され、大ベストセラーとなった…らしい…カメラです。私は1981年生まれなので、そういった情報は実物を手に入れてからネットで調べて知った情報です。
 
 十和田のハードオフで購入しました。レンズは前のユーザーが使っていたフジノンの単焦点レンズがついていて、6か月保証付き。それで1万円程度だったかな。相場として高いのか安いのか…よくわかりませんが、少なくとも私が手に入れた個体はファインダーの汚れもなく、割合上等なものでした。

 どうしてこのカメラを選んだのかというと、「懐古趣味」ということになるでしょうか。youtubeで古いCMを色々とみている中で、特に面白いと思ったものの中に、このペンタックスSPのCMがあったのです。「ペンタックス CM 昭和40年代」とかって検索すれば出てくると思います。

 このカメラを買う1年前に別な店で見つけ、以来ずっと愛用している1968年製の自動巻き時計『シチズンセブンスター』に引き続き、60年代のメカニカルなもの、日本の職人が丁寧に組み上げた工業製品を自分のものにしてみたい。この機械を通して60年代の空気を感じてみたい。そんなわけで購入したわけです。


 ペンタックスSPは、基本的にはメカニカル機です。一応電池を使った露光計はありますが、ピント合わせは手動だしシャッターを切るのもバネと歯車で行います。だから電池がなくても電気回路が故障していても、写真を撮ることはできます。
 
 正直なところ、果たして自分にまともな写真が撮れるのか? 不安がありました。今まで一眼レフと言えば完全AFオンリーでしたからね。自分は対象物と構図を決めれば、ピントも露光もシャッタースピードも全部お任せ。一応そういった情報が画面の中に表示されるものの、それを覚えて次からどうこうすることもないので、ほとんどゼロからの出発という感じです。
 

 ペンタックスのホームページから取扱説明書をダウンロードし、一工程ごとに確認しながら写真を撮る。それは手間がかかる分、写真に対してすごく積極的に触れ合えるような感じがしました。いい加減な気持ちで撮ればピンボケピーマンダメ男(byドラえもん)の写真になりますし、きちんと露出やピントを調整して撮影すれば、なかなか綺麗なものが写ります。まあ最初はフィルム装填の仕方を失敗して、撮ったつもりでも未露光だった…なんていう、撮影以前のボケをしてしまったこともありましたが、それもまた楽しです。

 ライカをはじめとする高級クラシックカメラを取り扱う盛岡の老舗ショップ「松村カメラセンター」の主人にも「状態の良い個体ですね」と言ってもらったものですし。これからもっともっと、使い込んでいきたいと思います。
 
 



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