かってに応援企画!
蘭茶みすみ5周年ミニアルバム
「CRYPTO・I/クリプト・アイ」を聴いてみた!




序論

 Vtuberでメタバースアイドルの蘭茶みすみさん(以下、愛称の『みすみん』とします)が5周年を記念して発表した、オリジナル曲をまとめたミニアルバムです。

 ひとつひとつの楽曲はYoutubeチャンネルでも配信されているので、聴くことは可能です。ただ今回はみすみんサンがひとつのアルバムとしてまとめてくださったので、それを通して聴いてみました。

 わざわざ「通して聴いてみた」というのは、これが「ミニアルバム」だからです。自分で好きな楽曲にランダムアクセスしてマイプレイリストを作ったのではなく、みすみんサン自身が順序なども決めてひとつの「ミニアルバム」として発売したのだから、私もその全体的なつながりを意識して聴いてみようと思い、実際そうしました。

そのうえで、個々の曲の解説と、それぞれの関係性、全体的な「つながり」について書いたのがこの記事です。

 なお、初めにこんな言い訳をするのはずるいかもしれませんが、私はファン歴でいえば3か月弱です。だからコアなファンの人からすれば「全くわかってない」というご批判もあろうかと思います(もしくは、それにすら値しないか)。そのうえで、あえて私は私の解釈として書いておりますので、あらかじめご了承ください。
  

本論―各曲感想とあわせて―

 1.「みすみんのTHEME」

 「みすみん みすみん
  みすみん みすみん」


ミニマル的な短いフレーズの繰り返しでフェードインする1曲目は、これから始まるミスミズム的世界の始まりにふさわしい、シンプルでわかりやすい一曲です。先日開催された「METAVERSE SONIC FESTIVAL3」(メタソニ)でもオープニングで歌ったのがこれですから、まずはこの曲で耳と心を慣らすと良いでしょう。テンポ早めの音楽に合わせて「みすみん、みすみん……」と繰り返されるフレーズを聴いていると、心も少しずつフワフワしてきます。そんな準備運動を経て、次の曲へつながります。

 2.「はじめてのZUCKER TIME」

「はじめてのザックルタイム
 見つめ合う小さな宇宙」


1曲目のフワフワした雰囲気を受け継ぐように、これも結構ライトめな曲です。ZUCKERというのはドイツ語で「砂糖」という意味ですから、恋人同士の甘いひと時を歌ったラブソング的なものかな、と私は解釈しました。
世の中のアレコレに関係なく、「でこぼこ」な者同士がお互いを思いやり愛し合う……そこに生まれた小さな宇宙を見つめ合う二人……そういうことだと思います。

 とか何とか言ってみましたが、1.と2.はそれほど難しく考えず、ライトでポップな雰囲気を楽しめばいいと思います。個人的には歌詞のワンフレーズにも色んな想像を膨らませてみたりしますが、そういうのは次の楽曲の解説で思い切り書くのでここでは話を先に薦めたいと思います。

 3.「ここで君に会えた」

「いつまでも追いかけていた
 空の上の赤い太陽」


 ちょっと暗め(低音ベース)のイントロに続いて、そんな歌い出しから始まるこの曲は、楽しいお祭りのような時間が終わって、夕暮れ時にひとりきりの部屋に戻るため歩いて帰る気分……といえばいいのかな。割とリアルに私の日常なんですが、多分そういう時の「諦めまじりの寂しさ」を感じる曲です。
 その後、「君に会えた」私は、今度は「ふたり」でささやかな幸せを分け合います。それはとても幸福な時間なのですが、

「どんなに早く走っても
 暗い夜は来たね」

と言うように、歌はやがて来る終わりの時を思わせるような展開になります。ここでまた気持ちが暗くふさぎ込みそうになります。
 そこでサビの部分で繰り返される「まわる」という言葉が起き上がってきます。身体も心も地球も時空も回りだして、ぐるぐると果てしないスケールで動き続ける中で「君に会えた」――だからたとい命尽きたとしても、またぐるぐると回って再会できるという希望があるんです。

「ひとり」「ふたり」「まわる」

 これらのキーワードが何度も繰り返されることで、歌を聴いて想像する世界観が一回り二回りと深まり、ついに心の地下10階までたどり着いたんだと思います。歌詞の深さという意味では、このアルバムの中でも随一ではないかと思います。

4.「CRYPTO・I」

「ありのままの私
 解き放て」

4.はまた、それまでの雰囲気とはガラリと違って、非常にスピード感のあるイントロから始まります。3.が心の最深部まで潜るような楽曲だとすれば、4.は逆に、遥か彼方にきらめく星を目指して加速を続ける宇宙ロケットのような勢いの歌詞と楽曲です。
ここまでアルバムとして聴いてきた私としては、これは次曲『カラフルメタバース』に向けたみすみんサンの決意表明だな! と思いました。
 
「ありのままの私 解き放て」

サビで力強く、高らかにそう言い放つみすみんサンの歌声と、それを援護するような疾走感あふれる楽曲に、聴いている人の心も急加速するでしょう。実際みすみんサンの活動もすべて順風満帆というわけではなかったということも知っています。そういうストーリーも含めて考えると、なおさら歌詞に力強さを感じます。

1.と2.を「ライトでポップな世界観」としてカップリングするなら、3.と4.は心の光と影のカップリング、またはコインの表と裏のような、そういう関係性でまとめることができるかもしれません。コインの表と裏だから、どちらかだけでなく、どちらもみすみんサンであり、その楽曲を聴く一人ひとりの心の世界だと思います。それが、これらの楽曲をアルバムとして通して聴けばこそ感じられる(考えることができる)良さだと思います。

5.「カラフル☆メタバース」

「見上げる月に 魔法をかけたなら
 いつか恥ずかしさと怖さ消えかけていたんだ」


 今のみすみんサンの代表曲です(よね?)。私が初めて聴いた楽曲でもあります。そしてメタソニのクライマックスでも歌っていました。今更私が歌詞を語るなんて野暮ったいことはやめようかな……と思ったのですが、少しだけ語ります。

 最後がこの曲というのは、つまり最新、現在進行形のみすみんサンがこれなんですよ、ということだと私は解釈しました。2018年から2023年まで、アルバムを通じ時空間を超えて旅してきた終着点は、ある意味では新しい世界のスタート地点だったという……楽曲的にも華やかで、楽しいの世界観が無限に広がるような曲なので、閉じないんですよね。

いつまででも思い出して良いんだからね
私たち秘めてる本当の姿を
作られた宇宙(そら)を照らす星
咲くのを待っている キラリ☆ビッグバン

 歌詞の一部分を切り取るというのは非常に難しいことではありますが、メッセージ性を強く感じたので、敢えてこの部分を引用させていただきました。

結論

 どうしても最後に結論めいたものを書かないと文章が締まらないような気がするのは、私の癖みたいなものなので、簡単にまとめます。

 みすみんサンの歌は、やっぱり歌詞がいいんです。元々歌詞から入るタイプの人間なんですが、フレーズのひとつひとつに思いが込められているようで、それをいちいち拾ってきては心の中で広げられるので、ここまで色んなことを書いてしまったのかもしれません。
 アルバムに収録されていない楽曲(『おわり』とか『メタバース音頭』とか)もyoutubeチャンネルで公開されています。そういうのを自分でセレクトして楽しむのも大いに結構だと思います。

   *

私は音楽の専門家ではないので、純然たる解説はできません。さらに言えば私自身がみすみんサンのファンなので、ひいき目もあると思います。
 そのうえで、このアルバムの魅力とは何か。それを最後に書きます。

このミニアルバムはひとつながりの世界観、時系列、すなわち『みすみん・クロニクル』を構成しています。リアルタイムで追いかけてきたわけではない私だからこそ、そう感じました。

たとい今まで蘭茶みすみという存在を知らなかったとしても、このアルバムで知ることができます。その後でここから共鳴し、共感すればいいのです。


 良いと思います!


2023年6月5日 佐藤非常口@仙台



 6月7日追記:

 
正式リリースに先立ってみすみんサンに紹介コメントをお願いしたところ、快く引き受けてくださいました! なので「かってに応援企画」と銘打ってはいますが、「公認」ということで思いっきりアピールさせていただきました。ありがとうございます!

蘭茶みすみサンのホームページ

蘭茶みすみショップ(booth)



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