「コロコロ走る」という印象
――日産・マーチ(K11)の思い出 2014年11月11日


現在は栃木県宇都宮市に住んでいる兄者が友人から10万円で買った赤の日産マーチ。スペック的には一番スモールなやつです。リッターカーってやつです。あとは3ドアで、もちろんATです。

今は兄者の一身上の都合により実家で預っている状況なんですが、それにも関わらず親父が我が物顔で通勤車両として利用している有様。これには私も密かに憤慨気味です。なぜなら借り物のはずなのにメンテナンスフリー状態で乗り回しているし、自動車税も保険料も払わないからです。

そして私にとってこの車は、非常に思い出深い車だからです。今回はそんな思い出フォトグラフな記事と乗車インプレッションをごちゃまぜにした内容でお送りしたいと思います。あらかじめご了承ください。


先ほども書いたように、この兄者のマーチは一番スモールなエンジンを搭載しています。車検証の上では1000ccありません。そのため一応白ナンバーではあるものの、まさにコンパクトカーというにふさわしいスペックです。ドアも運転席/助手席/リアゲートの3枚しかないし。

かなりくたびれた軽自動車に乗っていた頃は、それでも十分な大きさに感じていたのですが、ファミリアファミ子に慣れた今となっては、もうメチャクチャ小さく感じます。ただしこれは「狭い」という意味ではなく「取り回しが非常によい」という意味です。賞賛、絶賛の言葉です。

縦列駐車に方向転換、ちょっと狭い脇道走行や路地走行なんかでもクルッと回ってスルスルいけちゃう。手を伸ばせば届きそうな場所にリアタイヤがあるようで、本当に運転しやすいです。これならバックする時にホイールハウスを引っ掛けてフロントフェンダーをメキメキさせることもないでしょう。以前とある漫画で「コマネズミのように曲がる」なんてことを言っていた人がいましたが、まさにそんな感じです。

また、高速道路を走る時は「もうちょっと余裕があればいいな」と思っていたパワーも、下道を走るぶんには必要十分なくらい出ています。岩手の下道はどういうわけか平均時速70〜80キロ程度なんですが(そのくらいのスピードじゃないと後ろからつつかれる、または追い越される)、少し踏み込めばそのくらいまでは軽くいきます。日常生活を送る上ではこれでOKでしょう。

まあ、これを難点というつもりは毛頭ないのですが、ハンドルが妙に軽いのはちょっと不安感がありますけどね。以前代車として借りたeKワゴンなんかもそうだったんですが、やはり曲がった時にしっかりと地面にグリップしている感触をハンドルから感じ取れるファミ子のよさを改めて感じたというか、そんな気がします。こういうのも慣れというか、好みというか、そういう要素もあると思うので批判をするつもりはありませんが。


さて、この車は先ほども書いたように、宇都宮市内に住む兄者が買った車です。そういうわけで私が宇都宮に遊びに行った時に乗せてもらったり、そのあと実家がある岩手県滝沢市(当時は滝沢村)に帰ってくる時に交代で運転したり……と、何かと思い出を呼び覚ますトリガーになっている車です。それと同時に私が初めてロングドライブに挑戦しこれを達成した車でもあります。その時は確か、トラックやバスのスリップストリームを利用することで、岩手―栃木間の無給油走行に成功した気がします。

それだけに今回、代車として1週間ほど私が借り受けることになったのですが、あれほど乗り回していながらオイルを交換していないという言葉に激怒した私。その日のうちにイエローハットでオイル交換(+エレメント交換、さらにクレ・エンジンクリア投入)しました。これで少しはエンジン内が綺麗になってくれればいいのですが。

また、オイル交換時の無料点検でバッテリーがほぼ死にかけているらしいということも発覚。今回はちょっと、そのための予算計上をしていなかったので、同時交換というわけにはいきませんでしたが……いずれ、兄者がこの車を引き取りに来る日まで、大切にメンテナンスをしなければ。


そうそう、この車にはパイオニアの社外カーナビがついているんですよ(カロッツェリアでしたっけ)。2006年のもので、確か20万円くらいしたんじゃないかな。HDDナビってやつです。

そんな、私からしてみれば鼻血が出そうなくらい超・高級なカーナビさん。MAPLUSポータブルのように、電源が入ってからのんびりゆっくりGPSを探す……なんてことはありません。1分かそこらで即案内OKの状況になります。VICSを搭載しているからリアルタイムに渋滞情報もわかるし(地図は2006年当時のままですけど)。

さらに、本機で再生した音楽は自動的にHDDに取り込まれているので、これまた懐かしい思い出を呼び覚ますトリガーとなる音楽がたくさんつめ込まれています。猫沢エミとか今ほど有名じゃなかった頃のパフュームとか。これはとても個人的な話なので、あまりクドクドと語っても仕方がないとは思うんですが、小林秀雄的な感動を覚えてしまいます。

今回、花巻市内のイエローハットに行く時も、利用しました。終盤で「?」な道案内ルートを指し示されたので、それを無視して一気に行ってしまったのですが、想像だにしないようなルートを教えてくれたカーナビさん。なかなかやるものです。


というわけで、一気に書いてしまいましたが、とにかく一日も早く兄者がこのマーチを取り戻しに来る日を待ちつつ、ファミ子が帰ってくるまでしばらく私も借りておこうと思います。なお愛称の命名規則に従うとさしづめマーチ子、ちょっと縮めてマチ子といったところでしょうが、私にとってマチ子といえば長谷川町子(先生)か尾野真千子であり、そもそもこれは他人の所有物なので、愛称をつけるのはやめておきます。