その5 ファミ子の未来を考える
――今、ロックアップ付AT乗りにできるコト――







トルコンによる駆動ロス 4WDゆえの重量増加
そしてラフなアクセルワークによる燃費の悪化

だからって10年後燃料電池車にシフトすれば
OKじゃ無いんです

まず今日から
AT仕様ファミリアに乗っている今から
考えてみましょう

まずは巡航ペースで走る時に
ロックアップ機能を作動させてみる






 
 前回、かなり大まかな計算方法とはいえ、燃費がリッター9キロ台まで落ち込んでしまった私のファミ子。これはなかなか由々しき事態です。

 といっても、どうしてここまで燃費が悪くなったのかは、わかっています。これまでのように燃費最優先のアクセルワークではなく、「気持ちのいい」アクセルワークをしたからです。ある程度の刺激を与えないと元気が出ないだろうなと思って、そういう走りをしたから、燃費がガクンと落ちたんだと思います。

 まあ、カタログスペック上でも、私の乗っているS−4はあまりいい方ではありません。ATだし、4WDだし(機構が増えるのでちょっと重い)。MT仕様だったら少しはいいかもしれませんが、そもそもそんなのが今どれだけ中古市場に存在しているのかっていう話ですからね。ATならATなりに、何とかできることをして、燃費を少しでもよくしてあげたいですね。私のサイフのためにもね。


 『燃費改善』と一口に言っても、そのアプローチは色々あります。
 
 たとえば、やわらかいオイルを使うというのは、確実に効果ありますよね。かつては私も10w−30指定のアルトに5w−30のオイルを使用していました。そうすると明らかに回転が軽くなって、なんかラクそうなんですよね。おそらく燃費もよくなったと思います。
 
 ただ、何せ私の車は10万キロオーバーの過走行車(※)。燃費のことよりもメカの保護のことを優先したい気持ちがあります。そうなると、やはり粘度の高い(=比較的燃費が悪くなる)オイルを使ったほうがいいのかな、と考えているのです。
 
 あとは、いわゆる『燃費向上グッズ』を利用するのか? という話になりますが、これはよほどの確証がない限りは利用しません。何せモノによっては公正取引委員会から排除命令を受けたことがありますからね。効果があったという人を否定するつもりはありませんが、私は別なアプローチで行きたいと思います。
 
 ‥‥というわけで、そういった何かに頼らず、自助努力だけで少しでも燃費をよくする方法がないか? を調べて気づいたことを書く、というのが今回の本題です。
 
 
 最近は車のメカニズムに関する本を何冊か読んでいます。最初は『エンジンの仕組み』みたいなのから始めて、次にそれ以外の部分も含めた全体的な解説書を。もちろん私は自分で点検整備などを一切しない人間なので、そういう人向けのやさしい解説書なんですが、それでも「自分が運転している車が、どういったメカニズムで動いているのか」というのを知るのは、とても楽しいです。
 
 その中で非常に難しいなと思ったのは、トランスミッションについて。マニュアルミッションの方は何とか理解できたものの、オートマチックミッションの方は‥‥いくつものギアがかみ合って、それをトルクコンバーターが‥‥ATフルードが‥‥と、まだまだきちんと理解できていません。ATというのはきわめて複雑かつ高度なメカだということがわかりました。
 
 そんな状況でAT云々を語るのも恐縮ですが、私のファミ子のATには『ロックアップ機構』というものがあることに気づきました。
 
 詳しい解説はニャルフ先生のFAQを見てもらえればいいかと思いますが、要するに、
ある条件が整うと「ロックアップクラッチ」が作動してマニュアルミッション車と同じようにクラッチをつないでエンジン動力を100%伝達します。つまり、トルコンは作動していてもそれを無視してエンジンとミッションをロックアップクラッチで直結にしているわけです。
‥‥ということなんです。以前私が「ひとつ上のギアで走る」と紹介していたのは、どうもロックアップ機構が作動していただけだったようです。
 
 実際、今回このコラムを書くにあたり、ギアの切り替わりに注意して走ってみました。そうすると‥‥確かに2速→3速→4速とステップアップした後、少し回転数が落ちるタイミングがあることを確認しました。スピードは落ちないのに、それまで2000回転前後で回っていたエンジンが、1500〜1600回転のあたりで回るのです。
 
 こういう走り方は、さかのぼれば私の初めての本格的愛車となったスズキ・アルト時代にもやっていたことですね。エンジンにも私自身にも負担をかけないように運転したい、できるだけアクセルを踏み込まずに巡航ペースを維持したい――そういう心がけに、知らず知らずのうちにクルマの方はロックアップ機構という形で応えてくれていたのです。
 
 そして、こうして科学的裏づけというか(?)、メカニズム的にも一番ロスが少ない走り方をしていた、ということが図らずも証明されたわけですよね。クラッチを経由して、ダイレクトに動力が伝わるわけですから、これほど効率がいい走り方はないでしょう。
 
 もっとも、時速60キロで走っているとなぜか邪魔っけにされるのが世の中ではありますが、かまうもんですか。こっちはこの国の道交法にのっとって時速60キロで走っているわけですから(最高速度制限の標識がない場所はね)。正義がどちらにあるかは誰が見ても明らか‥‥って、別にそこまで熱くなることではないんですが、まあ、そういう人には「お先にどうぞ」としか言えません。
 
 ‥‥あと、そういった燃費効率の話だけじゃなく、走らせることの楽しみも出てきましたね。今までは「なんだかよくわからない機械がゴトゴト動いているだけ」という認識しかなかったのですが‥‥不完全とはいえある程度ATのことがわかると、面白いなと思うようになったのです。おれが今、こうして運転している車は、すごく高度な工作機械なんだなって。

 感動する これほどのモノを造った人間がいるコトに
 デザイナー エンジニア ライン組立工 そしてチューナー 
 いつもそれを造り上げる人間に感動する

 いや私のは全然チューンドじゃないし、チューナーが関わっているわけではないんですけどね。でも、乗るたび本当に感動してしまうんです。
 
 そして、ロックアップ機構を作動させることにより、4速目だけとはいえマニュアル車と対等の走りができるわけですからね。そういうのを意識して走らせるのも面白いと思うのです。踏み込みすぎればいつまでもクラッチがつながらないし、あまり早い段階で作動させてもすぐに解除になってしまうし。ミリ単位で踏み込み量を調整し、できるだけ長く直結状態を維持するためにはどうしたらいいのか? を少しずつ少しずつ探り、身につけていく。
 
 わたし(犬神)はあえて断言します。これこそAT仕様ファミリアの神髄です。
 
 初めからスポーツ走行を意識した設計というわけでもなく、特別なチューンが施されたわけでもない、ごくフツーの車でも――少しの知識と深い愛情があれば、ここまでクルマは楽しくなるんです。
 
 
 
 初めて公道走って恐る恐るアクセル踏み込んだ時
 調子くれてガンガン飛ばして燃費悪くなった時━━━
 
 ええ時も悪い時もいろいろあったわ ゆーてもええんやなそーゆの
 
 オレのファミ子もごっつー生きてるって
 濃いー車はそっちのポル君(※※)だけとちゃうってッ  
 
 
 2014年3月1日
 総走行距離 103589km
 
 
 
  ※ オイルメーカーのKendall社が考える過走行車の定義にもとづく。
  ※※ 漫画『彼女のカレラ』で主人公の轟麗菜が愛車ポルシェ964カレラRSに
      つけた愛称



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