PROJECT NEKOTORA


1997-2017
青春のあの日から充実の今日へ







  「自分の青春にオトシマエをつけたい・・・・

   笑います? そんなコト言ったら・・・・」


 これはゆるぎない事実として申し上げますが、高校時代、犬神は写真部に所属していました。1年の夏休み前ぐらいに転部という形で入り、それから3年の夏まで2年間、学校の備品であるEOS650とEOS1000を交互に使い、ビシバシ写真をとりまくりました。

 当時(97年〜99年ごろ)のウチの写真部はネオパン400……要するにモノクロフィルムでした。トイレットペーパーみたいな長巻のフィルムを専用の巻きつけ機械にセットし、それを空のパトローネに巻きつけてカメラに装填。現像とか焼付けも専用の暗室を使って自分たちで行うので、そう言った部分での予算を心配することなく撮影することができました。

 当時の顧問は写真に関して一家言を持つ、上の上たるオルフェノク……じゃなくてアマチュアカメラマンであり、真剣に写真に取り組まないやつは辞めさせる! という厳しさを持つ人でした。

 はっきり言って「サボり放題だよ」といううわさを聞きつけて最初っから幽霊部員になるため転部した私は戦々恐々としたものですが、意外と写真を撮ることは楽しく、泊りがけで行った撮影合宿で撮った写真が文化系インターハイこと高校総合文化祭で結構な賞をいただいたり岩手日報に載せていただいたりしたこともあり、

 「より、いい写真が撮りたい」

 そんな風に思うようになりました。残念ながらその顧問は私が3年生になる時離任してしまい、あとから入ってきた先生はそこまでのノウハウのない人だったので不完全燃焼に終わってしまいましたが……それでも数百枚という写真を撮り、感覚的なものを多少は身につけることができたので、今にしてみればいい体験だったと思います。


 高校を卒業してから数年。たまたまハードオフに行った時、カメラコーナーを見ると当時私が高嶺の花だと思っていた一眼レフが数千円でゴロゴロ陳列されているのを発見し衝撃を覚えました。隣にある化石のようなクラシックカメラ(注:あくまでも、まだその価値がわからない25歳の頃の感想です)の10分の1くらいの値段です。

社会人になって自分で使えるお金も学生の頃と比べれば結構あるし、当時は夢だった「自分の一眼レフ」を持ってみよう! と思い色々と検討。80年代のレーシングカー(スープラGr.Aまたは88C-Vなど)で非常に鮮やかだったという、カメラとはぜんぜん関係ない理由でミノルタのα-sweetを買いました。300mm望遠レンズ付で、1万円を切る値段でした。

 これは結構よかったですね。シャッター半押しですべてコンピュータが計算してくれるので、買ったばかりの頃の熱病のような空気が冷めてからも、旅行に行くときは必ず一緒に持ち歩いていました。携帯電話のカメラも併用していましたが、やはり大事なところはいつもα-sweetで撮影していました。

しかしながら、そのα-sweetも故障により沈黙。もうひとつの思い出カメラ(高校生当時、好きな女性タレントが出演していた)であるespio115Mを買って持ち歩いていたものの、2014年9月にようやく買ったスマホのカメラが思いのほか高性能であったため、わざわざそれを持ち歩く必要もなくなったので、完全に写真に対する興味は冷え切ってしまいました。(※)


そんな中、2015年の4月から住み、働いている青森県十和田市のハードオフで出会った『アサヒペンタックスSP』。何十回もCM動画を見て「いつか欲しいなあ」と薄ぼんやり考えていたのですが、これが思ったよりも高くない値段で売られているのを見て「!!!」。

きれいな写真を撮るならデジタルカメラにはかないません。一眼レフだのミラーレスだの、まあ色々あるでしょう。最終的に購入に踏み切ったきっかけは、やはり「メカニカルなものが欲しい」という思いでした。同じ理由で現在1968年製の自動巻きメカニカル腕時計(シチズンセブンスター)をつけていますが、これも9割方ネジと歯車で構成されたメカニカルな仕様です。露出計だけは電気仕掛けですが、主要な部分は全部メカなのでね。


「高校時代から一貫して写真が好きです!」というのではなく、一時的な熱病に浮かされてふらふらしていた私ですが、MF専用機を手に入れて1年あまり。「もうミーハー趣味で写真をやっているわけではない」と考えています。

単焦点レンズ+マニュアルフォーカスのペンタックスSPでの撮影は、なかなか大変です。露出情報はある程度教えてくれるものの、気に入った構図を見つけるためには自分が前後に走り回らなければいけないし、ピント合わせも自分次第です。正直なところ視力が悪い私は、いわゆる視度調整レンズを付けないと無理があるのかな、と思い始めています。

だからこそ、写真って面白い。そうやって苦労したうえで出来上がった写真は、ある種の感動さえあります。「どうせ、いい写真なんて何十枚かに1枚しか撮れないんだから」という気持ちでシャッターを切るのではなく、1枚1枚をよく考えて丁寧に撮る。フィルムも現像代もタダじゃないから、大事に大事に撮る。その上での数十枚に1枚が、いい写真なのかなと思います。


今は胸を張って言えます。私は写真が好きです。


 ※  いったん沈黙したα-sweetは、数年後に新しい電池を入れたら何事もなかったかのように動きました。そして2017年秋に、ミノルタ銀塩一眼レフの集大成ともいわれる名機α-7を購入。標準レンズもネットオークションで手に入れてしまいました。現在はペンタックスSPをメインとしつつ、色々と動きのある被写体や望遠レンズを使いたい時はαシリーズを…という感じで使い分けています。というか、そう割り振ることで、3台も一眼レフがある現状を肯定しています、


 
 



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